資源回収の場を活用したコミュニティ創出で 地域課題を解決へと導く

アミタホールディングス株式会社

資源回収の場を多世代間の交流拠点へ

他に類を見ないスピードで高齢化社会が加速するなかで、人口減少・雇用縮小・少子高齢化・社会保障費の増大が地域の4大課題に挙げられるようになりました。

この地域・企業・社会の共有課題を統合的に解決しようというのが、アミタホールディングスが各自治体と取り組む「互助共助コミュニティ型資源回収ステーション」です。

これは、地区ごとに設置されている資源回収の場を多世代間の交流拠点とすることで、先の社会課題、ならびに地球環境問題や企業課題も統合的に解決していこうという試みです。

 

こうした課題への対応では、当該分野のデータ収集・調査・分析のエキスパートの観点が不可欠でした。その必要性を感じていた折に、千葉大学予防医学センター近藤克則教授の著書『健康格差社会への処方箋』に出会って、介護予防事業を活用した地域づくりの取り組み事例を知り、当方から共同研究のお願いする流れの中で、WACoに参画することとなりました。

 

かつての日本には地区ごとに井戸場があり、そこに地域の人々が集っていわゆる”井戸端会議”に花を咲かせるようなコミュニケーションが生まれ、コミュニティが形成されていきました。これを、身近な生活機能の一つである資源回収の場を使って、かつての井戸端会議のように地域の人々が集って互助共助のコミュニティを生み出すことで、社会課題の解決にアプローチできないものか、と考えたことが新しい資源回収ステーションを企画する発端でした。

この「互助共助コミュニティ型資源回収ステーション」は“互助コミュニティ機能”と“資源循環機能“という2つの提供価値を併せ持つ点に特徴があります。

“互助コミュニティ機能“では社会保障・福祉費の削減、互助関係の創出、消費動向・資源情報の活用といった効果を生み出し、“資源循環機能“では環境コストの削減、暮らしのエコ化、企業による自社製品回収とその再利用、域内資源調達の効果を生んで、先の地域課題の解決へとつなげていくことを狙いとしています。

 

まずは、宮城県南三陸町において2018年10月、自治体協力のもと地元企業含む民間企業で「包括的資源循環の高度化実証実験」をスタートしました。ここでは、従来の地域コミュニティに溶け込めず、引きこもりがちだった男性の独居高齢者が「互助共助コミュニティ型資源回収ステーション」に積極的に通うようになるなど、これまで地域との関わりを持たなかったような方にも居心地の良い場所を提供することができ、社会福祉協議会からも注目されるきっかけとなりました。

これを機に奈良県生駒市、福岡県大刀洗町、兵庫県神戸市などへ実証実験の範囲が広がり、この取り組みが社会課題解決に対する新たなアプローチとして注目されていきました。

 


WACo参画で研究活動が多面的に進展

実証実験を通じて、南三陸町と同じようにこれまでは地域コミュニティに参加しなかった男性高齢者が積極的に「互助共助コミュニティ型資源回収ステーション」に通うようになり、認知症の症状が見られた高齢女性が地域の人々とのコミュニケーションを通じて症状が改善され、通うことで足腰の健康状態も向上するなど、定性的な部分でいくつもの改善効果が確認できました。

これまで当社が行ってきた「互助共助コミュニティ型資源回収ステーション」における地域と企業の課題解決の取り組みは、WACoでの共同研究へとステージを移して新たな展開を迎えようとしています。とくに効果検証では、近藤先生がアカデミックな立場から関わってくださることで研究データの取得と検証に透明性や信頼性が生まれ、自治体との連携もスムースになっていることを実感しています。

また近藤先生は、現場へ深く入り地域住民の方々と触れ合うことを大切にされています。生駒市や大刀洗町では、実証実験を行うにあたり地元住民ならびに市町村職員の方々に向けた講演会を催していただきました。そこでは、「互助共助コミュニティ型資源回収ステーション」がもたらす健康効果や、取り組みを継続していくことで期待できる健康生活や地域課題解決についてもわかりやすく伝えていただきました。さらに様々な講演会で「互助共助コミュニティ型資源回収ステーション」についてご紹介されたことをきっかけに、さまざまな企業から「話を聞きたい」とお問い合わせをいただき、何度か意見交換を行わせていただくなど協業に向けた発展の可能性も生まれています。

 

今後は、効率的なデータ収集方法や取得データの共通化、コストや手間がかかるプロセスのシェアなど、参画企業同士の連携が円滑に進むようなしくみの確立にも大きく期待しています。それによってWACoでの取り組みはより有意義なものとなり、社会へ還元できる確かな成果へとつながっていくものと信じています。

※部署・役職名は取材時(2023/6/15)のものです


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