ゼロ次予防とは、運動や健康食の摂取など本人が意識的努力をせずとも、暮らしているだけで健康で活動的になる住空間・コミュニティーを指すものであり、建造環境を含む社会的環境の重要性に着目したWHO(世界保健機関)によって提唱された新たな概念です。 本プロジェクトでは、オフィスや住宅などハード面のデザイン・設計と、ハードに実装するソフト面の健康寿命延伸プログラム、そしてそれらを科学的エビデンスにもとづき評価するデータ解析ツールを連動させ、超少子高齢化社会を世界に先駆けて迎える我が国における健康長寿社会を実現します。ここでいう健康には身体的健康に加えて、心の健康や生きがい・幸福感などのWell-beingが含まれています。 本プロジェクトが目標とする新たな価値としては、個人の健康寿命延伸によるQOLの向上、世界的に拡大を続けるヘルスケア産業の市場において消費者に訴求する健康増進のための商品の提供、健康寿命延伸によって得られる社会保障費(医療費等)増大の抑制による財政健全化などが挙げられ、学問的挑戦性と産業的革新性を併せ持つ社会的インパクトの高い研究開発を目指しています。
千葉大学 予防医学センター センター長 千葉大学大学院医学研究院教授 森 千里